検察官から取調べを受けた後、裁判所から起訴状が届いた方へ
「弁護人選任に関する通知及び照会」という書面を提出する前に必ずお読みください。
「弁護人選任に関する通知及び照会」とは
弁護人選任に関する通知及び照会を裁判所に提出すると、原則として国選弁護人が自動的に選任されます。
国選弁護制度とは、被疑者(刑事事件で勾留された人)および被告人(起訴された人)が、貧困等の理由で自ら弁護人を選任できない場合に、本人の請求または法律の規定により、国が費用を負担して、裁判所、裁判長または裁判官が弁護人を選任する制度です。
ただし、後から資力(弁護士費用を負担できるお金)があることが分かったなど、場合によっては、裁判所から費用を負担するように命じられることがあります。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/keijibengo/seido.html
国が費用を負担して弁護人がつくなら、自分のお金で弁護士に依頼するよりいいじゃないか、とお考えの方もいると思います。
しかし、注意していただきたいのは「後から資力(弁護士費用を負担できるお金)があることが分かったなど、場合によっては、裁判所から費用を負担するように命じられる」ということです。
この場合の資力とは、現金や口座に入っているすぐに動かせるお金を指し、貸しているお金などは含みません。
その資力の額は、50万円以上を指します。
裁判所は、あなたの現金や口座に入っているお金まで積極的に調べることはありません。
しかし、警察の取り調べで、自分の年収や預貯金について話した覚えはありませんか?
警察で話した内容は「身上調書」という供述調書に記載され、刑事裁判の中で必ず裁判官が読むことになっています。すなわち、裁判官は必ずあなたの資力を把握するので、弁護人選任に関する通知及び照会の内容を誤魔化すことはできません。
動かせるお金が50万円以上ある場合には、国選弁護人を付けることができても、後からその費用負担を命じられることがあります。
国選弁護人には、法テラスに登録された弁護士に順番に選任されていきます。つまり、事件の内容やあなたの事情を踏まえて、弁護人が選任されていません。また、刑事弁護の経験が多くない弁護士に当たる場合があるのも実情です。
あとから費用負担を命じられる可能性がある資力を有しているのあれば、自分の利益をより実現してくれる弁護士を探すべきです。
弁護人に望むものは何ですか?
依頼者の利益は、依頼者ごとに異なります。
ご自身が弁護人に望むものを考えたことはありますか。
・ 示談を取って刑を軽くしてほしい
・ 家族にばれたくない
・ 今後の手続きを詳しく知りたい
・ とにかく早く終わらせてほしい
などと今までに様々なご要望を受けてきました。
争うだけが刑事弁護ではありません。
刑事弁護人は、依頼者の代理人であり、依頼者の利益を獲得するのが役目です。
なんとなく弁護士に頼んでおけば、自分の思っているとおりになるだろうと考えていませんか。そんなことはありません。
最終的に、弁護士費用を負担するならば、自分の望むものを考えてから、私選弁護人をつけるべきです。
どの弁護士に依頼するかによって、あなたの今後の人生に関わってきます。
ご自身が期待する結果を得られるよう、しっかりと弁護士を選んでいただきたいと思いますので、「弁護人選任に関する通知及び照会」を受け取った方は、まずご相談ください。
なお、「弁護人選任に関する通知及び照会」をお持ちいただいた方には、起訴後の公判弁護のみのご依頼になることから、通常の弁護費用とは異なる報酬基準をご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。