2026年3月22日

【医師・歯科医師向け】刑事事件と厚生労働省への通知について

医師や歯科医師の方が刑事事件の当事者となってしまった場合、刑事手続きの行方だけでなく、「医道審議会による行政処分(免許取消や医業停止)」が今後のキャリアにおいて大きな懸念事項となるかと思います。

ご相談の中でも、「もし罰金になったら、検察庁から厚生労働省に連絡がいくのでしょうか?」というご質問をよくお受けします。

今回は、元検事としての経験と厚生労働省の公式な通知に基づき、刑事処分の結果がどのように厚生労働省へ通知されるのか、そして今後の生活を立て直すために今何をすべきかについて解説いたします。

■ 検察庁から厚生労働省へ通知が行く仕組みについて

結論から申し上げますと、一定の刑事処分を受けた場合、検察庁(法務省)から厚生労働省へ情報提供(通知)が行われる運用となっています。

この仕組みは、厚生労働省が公表している以下の通知に基づいています。

【参考】 厚生労働省:『「罰金以上の刑に処せられた医師又は歯科医師」に係る法務省からの情報提供体制について』(平成16年2月24日)https://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/02/h0224-1.html

この通知によれば、法務省から情報提供される事件の範囲は以下のように定められています。

情報提供の対象となる事件

「罰金以上の刑が含まれる事件」で公判請求(正式裁判)された事件、または略式命令(書面上の手続きによる罰金)を請求された事件。

(ただし、軽微な事件については、公判請求事件に限る)

つまり、逮捕の有無にかかわらず、起訴されて罰金以上の刑が確定した場合には、原則としてその事実が厚生労働省へ通知され、医道審議会において行政処分の審議対象となります。

■ 通知されない「軽微な事件」とは?

上記の通知には、「軽微な事件については、公判請求事件に限る(=略式罰金の場合は通知しない)」という例外規定があります。

この「軽微な事件」の線引きは、医道審議会が示している「行政処分の考え方」という基準から読み解くことができます。

【参考】 厚生労働省:『医師及び歯科医師に対する行政処分の考え方について』https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/12/s1213-6.html(※平成14年12月13日医道分科会決定、以降随時改訂)

実務上、この基準に照らし合わせて以下のように扱われます。

【軽微な事件として扱われるもの】

悪質性の低い交通違反や、不注意による軽微な交通事故(過失運転致死傷など)がこれに該当します。

直ちに医師としての職業倫理に反するとは言えないため、略式罰金であれば通知から除外される運用がなされています。

【軽微とはみなされず通知される事件】

交通事故でも「飲酒運転」や「ひき逃げ」などの悪質なケースは厳しく判断されます。

また、当事務所でもご相談の多い盗撮(性的姿態等撮影罪・迷惑防止条例違反)や痴漢、万引き(窃盗)、暴行などの一般刑法犯は、同基準において「医師に求められる倫理に反する行為」とされています。

そのため、たとえ初犯で略式罰金で済んだとしても「軽微な事件」とは扱われず、厚生労働省へ通知されることになります。

■ 不起訴処分の獲得と「事案の正確な見通し」の重要性

検察庁から厚生労働省へ通知される基準は「起訴されたかどうか」にあります。

そのため、被害者の方との示談などを通じて「不起訴処分」を獲得できれば、前科はつかず、厚生労働省への通知や行政処分を回避することができます。

これが最善の解決策であることは間違いありません。

しかし、ご相談をお受けする中で、私が不起訴処分の獲得と同じくらい重要だと考えているのが、「事案の正確な見通しを早期に立てること」です。

事件の状況や証拠関係によっては、どうしても不起訴が難しいケースもあります。

そのような場合でも、「検察官がどのような処分を下す可能性が高いか」「略式罰金で済むのか、正式裁判になるのか」、そして「最終的に医道審議会でどのような行政処分(戒告、医業停止期間など)が見込まれるか」をあらかじめ正確に予測することが非常に大切です。

見通しが明確になれば、勤務先の病院への報告のタイミングや休職の準備、ご家族への説明など、ご自身のキャリアと生活を立て直すための具体的な対策を冷静に進めることができるからです。

■ 元検事の弁護士としてお力になれること

私は検察官として、数多くの事件を捜査し、処分を決定してきた経験があります。

「検察官がどの証拠を重視して処分を決めるのか」という起訴する側の思考プロセスを熟知しているため、事件の筋を正確に読み取り、今後の見通しを具体的にお伝えすることができます。

先入観を持たず、まずはじっくりとお話を伺います。

現在の状況を整理し、不起訴に向けた弁護活動はもちろんのこと、最悪のケースも想定した上で、あなたにとってどのような選択がベストなのかを一緒に考えていきます。

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