暴行罪について
暴行は「人の身体に対する不法な有形力の行使」と定義されています。
殴る、蹴るなどが典型ですが、被害者の数歩手前を狙って石を投げつける行為などのように、被害者の身体に直接触れていなくても、人の身体に向けられていれば、暴行に該当することがあります。
傷害罪について
傷害罪
刑法204条において、人の身体を傷害した場合に処罰されると定義されています。暴行により身体的な外傷を負わせた場合が典型ですが、嫌がらせの電話やメール等、精神的な障害(PTSDなど)に陥らせるケースも傷害罪に含まれます。
傷害致死罪
人の身体を傷害し、その結果、人を死亡させた場合を言います。
現場助勢罪
傷害罪や傷害致死罪とみなされる犯罪が行われる現場で、行為者をあおりたてるような行為などをした者は、現場助勢罪として処罰される可能性があります。
過失傷害罪
故意ではなく過失(不注意)で人に傷害を負わせてしまった場合には、過失傷害罪が成立し、30万円以下の罰金又は科料が科されます(刑法第209条)。ただし、過失傷害罪は親告罪ですので、被害者からの告訴がないと起訴されません。
公務執行妨害
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を行なう罪です。
典型的なのは、職務質問してきた警察官に暴行をしてしまうケースです。
単純な暴行罪(2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料。刑法208条)よりも法定刑が重くなります。
器物損壊罪
他人の物を損壊または傷害する犯罪です。物を破壊するだけでなく、汚染させて使えなくするような場合も含まれます。
また、刑法上の「物」には動物も含まれるため、他人のペットにケガをさせる場合も含まれます。
器物損壊罪は「親告罪」といい、被害者等の告訴がなければ起訴できない犯罪ですので、被害者の方と示談をして、告訴を取り下げてもらえれば不起訴を得ることが可能です。
殺人罪
殺人罪は、故意により(殺意をもって)人を死亡させる罪です。殺意がなく暴行をした結果、相手が死亡した場合は傷害致死罪が適用されます。殺人罪(死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)と傷害致死罪(3年以上の有期懲役)では、量刑に大きな差が生じるため、殺意の有無の認定が重要になります。
また、未遂も処罰されます。